【インタビュー Vol.3】~人柄で惹きつける、だから助けられる。~

更新日:8月20日



無戸籍の人を支援する会 代表 市川 真由美さん 2021. 9. 23



インタビュー企画3回目となった今回は、TEDxYouth@Wakakusa 2022のスピーカーとしてトークをされる予定となっている無戸籍の人を支援する会 代表 市川 真由美さんにお話を伺いました。奈良市で戸籍を持たずに暮らしている「無戸籍」状態の人々をサポートする活動をしておられます。

戸籍を持たない人が日本にいるということ

 今回インタビューしたのは、無戸籍の人を支援する会の代表 市川真由美さんです。市川さんは、戸籍を持っていない人たちに対して、それぞれの価値観や生活を考え、それぞれに寄り添った支援をされています。なぜ、日本国内に戸籍を持たない人たちがいるのか、そしてなぜ市川さんはそのような方々へ支援活動を行っているのか、お話を伺ってきました。


なぜ、無戸籍の人がいるのか

 日本で普通に暮らしていると、戸籍が無いことで社会的な不利益を被って苦しんでいる人がいるという事実を感じる場面はそう多くありません。そのため、それらの人々に対して人々へ関心が集まり、何らかの支援を行おうという社会的に大きなムーブメントが起こることはほとんどありません。無戸籍がゆえに、国内の無戸籍者の正確な人数が把握されていないというのが現状で、現段階の日本においては無戸籍の人たちに対するサポートは充分とはいえません。

 無戸籍の人たちは様々な理由によって生まれます。そして、彼らは戸籍がないということよってさまざまな社会的不利益が発生し、たくさんの苦しい思いを余儀無くされるのです。保険制度や参政権といったものだけでなく、生活するうえで必要な安定した職や住居の確保すらも戸籍を持たないことで手に入れられないということが多いそうです。

 現在、民法では「母が元夫との離婚後300日以内に子を出産した場合,その子は元夫の子と推定される」と定められています。そのため、出産後に離婚した母親が、その生まれた子どもを、再婚した新しい父との間の子として提出した出生届が受理されず、無戸籍状態になるという事案が多いそうです(いわゆる300日問題)。それに加えて、出生が海外であることや、子どもを取り巻くさまざまな家庭環境など、戸籍を持たない人がいる原因は多岐にわたると教えていただきました。そして、このような問題を解決するためには裁判を起こすことなどが通常ですが、時間と費用がかかってしまい、また支援が不十分なために状況を改善できない人が多いとのことでした。


どうして、支援活動を続けるのか

 「私は知らん顔することができないんです」

 私たちが、どうして無戸籍者に対しての支援を始めたのかについて伺った際、市川さんはこう答えました。市川さんが支援を始められたきっかけは、自身の店で働いていた人が無戸籍であったことからでした。平成28年、マイナンバーの本格運用開始に伴い、市川さんのお店でもマイナンバーの提出が義務付けられました。しかし、マイナンバーを提出しない従業員がいたため、その人に話を聞いたことによって、戸籍が無い人がいるのだということを知ったそうです。

 そのような人を見て見ぬふりで放って置くことができなかった理由には、市川さんが送ってきた人生が大きく関わっているといいます。市川さん自身も幼少期から壮絶な人生を経験されており、母親の自殺や、虐待、DVなどの「社会の闇」とも言える部分を自分の目で見てきました。幼少期の、「自分が助けてと言っても助けてもらえなかった」というような経験こそが、戸籍のない方々がいる苦しい環境を「当事者」として理解し、寄り添う支援につながっているのかもしれません。


人柄で「惹きつける」

 「私は結構、無戸籍者の人に受け入れられるんです。無戸籍者の人って、自分の境遇が半端ないものだから、他の人にきつく当たることが結構あるのね。だけど、なぜか私は受け入れられるらしいの。それでね、支援できて無戸籍の人の役に立てることができたとき、そこが嬉しくて続けられるのね。」と、語る市川さんの温かい人柄が取材していた我々にもひしひしと伝わってきました。それは、無戸籍の人を損得勘定抜きで支援しているという事実からだけでは無く、市川さんのとても謙虚な発言や考え方から滲み出ていました。さらに市川さんは、支援される方々一人一人の考えに寄り添って、その人にとっての幸せを考えるため、必ずしも戸籍を獲得することがゴールなのではないのだと言うことを教えてくださいました。つまり、こちら側の幸せを強要するのではなくその人の幸せこそが重要だと言うことです。その人柄の良さが多くの人に伝わって、市川さんはいろいろな人を惹きつけているのだと感じました。


 無戸籍の方々は、無戸籍というだけでさまざまな制約を受け満足なサービスを受けることができずにいます。さまざまな環境によって致し方がないとはいえ、サービスを満足に受けることができないのは非常に痛ましいことです。しかし、大変な経験をしてきた市川さんだからこそ、ご自身の経験を活かしていろいろな方の支援につなげているのだと感じました。市川さんはTEDxYouth@Wakakusa 2022でスピーカーとして、トークをされる予定です。ぜひ会場で生の市川さんのアイデアに触れてみてください!                     ブログ担当:岩佐

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